#05 2008.12.16tue〜18thu
インスタレーション
→細胞に閉じこめられたゲノムとしての「ユリシーズ」、
  ゆっくりと死滅する3日間。




         

「たとえダブリンがこなごなに破壊されても、『ユリシーズ』によって再現することはできるだろう」とジェイムズ・ジョイスは語っています。
生物は自己を再生するために細胞の中に設計図とも言えるゲノムと呼ばれる遺伝情報を持っています。もしダブリンを再生しようとするなら、もし街が生物のような機能を持っているとするなら、その細胞の中には『ユリシーズ』と呼ばれる長い長いゲノムが入っているのかも知れません。しかし例えば人の細胞は速いモノで10時間、長いモノでも数年で寿命が尽きてしまいます。人のほとんどの部分は一年ほどで新しく生まれ変わっているのです。言い換えれば細胞は死滅することによって自己を保存しているのです。
この作品は3日の間に徐々に光が弱くなってゆき最後には消えてしまいます。『ユリシーズ』という細胞が死滅する3日間を観察してみて下さい。

source: James Joyce [Ulysses](PENGUIN CLASSICS)から
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